アメリカの家具メーカーは200年にわたってバーズアイのツキ板を使用してきたが、そのことに関する記録はほとんど無い。現存する家具から推測すると、かなり初期の頃から象眼細工の素材として使われていたようである。18世紀後半の連邦時代の家具や19世紀後半までのアールヌーヴォー様式およびルネッサンス様式の家具において、バーズアイをふんだんに使用した装飾を見ることができる。また1920年代の後半にはアールデコと呼ばれる様式の家具にも一部使用されている。
バージニア・ボイド氏(ウィスコンシン州立大学マジソン校でアメリカ家具史を専攻)によれば、バーズアイメープルはこの時期のチッペンデール風(曲線が多く装飾的)の家具や植民地風の家具にも使われているそうである。現在のいわゆるモダン・スタイルにおいては稀にしか使用されないが、ノスタルジックな素材として人気がある。
今日では、バーズアイメープルは優れた価値を持つ銘木として知れ渡っている。ヨーロッパ、特にドイツとイタリアではバーズアイのツキ板のみを好むようだが、アメリカではツキ板でもムク板でも使用している。アメリカでは全てがバーズアイのムク板でできた家具もそれほど珍しいものではない。
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